《2》

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門倉さんに押さえ付けられて、喋るに喋れない状況の浜内さんは、何とか彼の手を解こうとフガフガ言いながらもがいている。 そんな姿が何だか小動物みたいでかわいくて… 「……ぷっ、ふふ…」 笑っちゃ悪いかな…と思いつつ、吹き出してしまった。 途端に「え……?」と顔を見合わせる門倉さんと浜内さん。 「………直井さんって、笑うんだ…」 門倉さんが驚嘆する横で、彼の力が緩んだ隙に大きな手のマスクを外した浜内さんが「ビックリー!」と前のめる。 「普段は無表情だから、顔の筋肉が衰えてて笑う事すら困難なのかなって、ずっと思ってたぁ」 「……いや、普通に笑いますけど…」 晃人さんといい、どうして皆、私がただ笑っただけで青天の霹靂並みに驚くのだろうか。 それとも、日頃の私が無愛想過ぎるだけ……? 複雑な気持ちに身を浸していると、隣に座る人物が私の頭を雑に撫でてきた。 「そっ、時々笑ってくれんのよ。かわいいだろ?俺のチェルシーちゃんは」 わっしゃわっしゃ…と、乱暴に撫で回し、わざと私の髪をグシャグシャにしてくる嫌な男を横目で睨む。
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