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門倉さんに押さえ付けられて、喋るに喋れない状況の浜内さんは、何とか彼の手を解こうとフガフガ言いながらもがいている。
そんな姿が何だか小動物みたいでかわいくて…
「……ぷっ、ふふ…」
笑っちゃ悪いかな…と思いつつ、吹き出してしまった。
途端に「え……?」と顔を見合わせる門倉さんと浜内さん。
「………直井さんって、笑うんだ…」
門倉さんが驚嘆する横で、彼の力が緩んだ隙に大きな手のマスクを外した浜内さんが「ビックリー!」と前のめる。
「普段は無表情だから、顔の筋肉が衰えてて笑う事すら困難なのかなって、ずっと思ってたぁ」
「……いや、普通に笑いますけど…」
晃人さんといい、どうして皆、私がただ笑っただけで青天の霹靂並みに驚くのだろうか。
それとも、日頃の私が無愛想過ぎるだけ……?
複雑な気持ちに身を浸していると、隣に座る人物が私の頭を雑に撫でてきた。
「そっ、時々笑ってくれんのよ。かわいいだろ?俺のチェルシーちゃんは」
わっしゃわっしゃ…と、乱暴に撫で回し、わざと私の髪をグシャグシャにしてくる嫌な男を横目で睨む。
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