《2》

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「………きたねーなぁ、おい」 口元から紅茶を滴らせる私の頭上から聞こえてきた凄みの利いた声。 「……すみません」 慌てて口元をハンカチで拭う。 「あーあ、せっかくのケーキが…」 幸いにも人的被害はなかったものの、浜内さんが注文したケーキが悲惨な事に… 「責任持って私が食べますので」 浜内さんからお皿を譲り受ける私を見て、晃人さんが「……何だか喜んでねーか?」とツッコミを入れてくる。 それもその筈、浜内さんが注文したケーキはガトーショコラ。 実は、一口貰えないかな……って、何気なく思っていたりした。 新たにケーキを頼むかどうか悩む浜内さんに申し訳なさを感じつつ、ケーキを堪能。 濃厚なチョコの味わいにうっとりしかけていたものの、すぐに現実に引き戻される。 「てゆーかぁ、課長!堂々とした結婚宣言、かっこ良過ぎます!」 興奮する浜内さんに「だろ?」と晃人さんは得意気。 それに対して私は「聞いてないんですけど」と言えば、彼の顔が曇る。
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