《3》

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人混みの中を器用にタッタカタッタカ歩く浜内さん。 彼女に引っ張られつつも、その背中を必死に追い掛ける。 「あ、あの……浜内さん?」 恐る恐る声を掛けてみたけれど、返事はない。 ……女子トークをする筈じゃなかったっけ? 首を傾げる私を一軒のアパレルショップに引き摺り込んでから、浜内さんが漸く口を開く。 「手荒な真似しちゃってごめんね~?」 「あ、いえ……」 「どーしても二人で話したくって。課長が居ると色々と聞き出せないし、悠くんの目が光ってるからさぁ」 言いながら新作商品として飾られているワンピースを手に取った彼女は「このワンピかわいくなーい?」と同意を求めてきた。 気が早い事に、季節をかなり先取りした淡いピンクのフリフリ春物ワンピース。 かわいらしく、女子力高めな浜内さんが着たら絶対似合うと思う。
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