《3》

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「かわいいですね、浜内さんに似合いそう」 お世辞抜きで正直な感想を漏らすと、彼女は嬉しそうにはにかむ。 「ありがとぉ。千奈美でいーよ。私も直井さんの事、下の名前で呼ぶから」 「え……」 「で、直井さんの下の名前って、何だっけぇ?」 ピンクのワンピースを元の位置に戻し、今度は色違いのネイビーを手に取った浜内さんは、それを私に当てがう。 「華、ですけど……」 「華ちゃん、ね。こっちの色の、華ちゃんに似合うと思うよぉ?どかなぁ?」 似合うと言われても…… 普段の私が着ている服とは毛色が違う。 ましてや、こんなレースやらフリルやらがふんだんに使われたワンピースなんて…… 地味顔の私に似合う筈もない。 大振りなリボンも年齢的にちょっと…
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