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「…………これを俺に被れってか?」
駆け寄ってきた禅から手渡された物は、手製のお面………らしきもの。
「つーか、何だ?これ……アメーバか?」
輪ゴムでサイズ調整出来る紙の輪っかの真ん中に、丸い紙がくっ付けられていて
その丸の中には、得体の知れないイラストが描かれている。
丸に毛が生えたような………変なもの。
「あめーばじゃありません。かにです」
むくれながら訴える禅。
どうやら、禅が描いたらしい。
「いや、どう見ても蟹じゃねーだろ。蟹はこうハサミがあってだなぁ………イテェッ!」
息子に正しき知識を……と思ったのも束の間、思いっ切り尻を抓られる。
「禅、気にしちゃ駄目だよ。パパは、本物の蟹を見た事がないだけだからね」
尻を擦る俺を尻目に、禅の頭を撫でる華。
禅は禅で「きっとそうだとおもいました」とか抜かしてやがる。
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