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ふと、視線を感じて振り返れば……
「……何見てんだよ?」
哀れみを含んだ視線を投げ掛けてくる華を筆頭に、あからさまなドン引き顔で俺を見ている禅と奏。
「………晃人さん、一言言ってもよろしいですか?」
「あ?」
俺の腕の中でモゾモゾ動くかわいい娘。
それを大事に包みながら華の次の言葉を待つ。
「凪がかわいいのは分かりますが、その溺愛っぷりは些か気味が悪いです」
「…………娘を溺愛して何が悪い」
ムッとする俺に、華が呆れ口調で続ける。
「凪がお嫁に行く時、泣いたり暴れたりしないで下さいよ?みっともないんで」
と。
「ふん、」とわざとらしく鼻を鳴らす。
「凪が嫁に行く日なんか永久に来ねーよ。パパとずっと一緒にいようなぁ~凪ぃ」
デレ~と頬を緩ませれば、華は露骨に「………うわ…」と、顔をしかめる。
その反応にひょっとして……と思い「娘に妬いてんのか?」と問えば…
「いえ、別に」
即答され敢えなく撃沈。
落ち込む俺を見て、息子達は「ふっ……」と鼻で笑っている。
ひねくれた嫁と冷めた息子達………
「なぁ凪、お前だけはひねくれないで素直に育ってくれよ?」
最後の砦のかわいい娘に、そっと期待を込めた。
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