第1章

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 そんな訳で弓道を始めたんだけど・・・。  弓道部入部の初日、あたしはすごい衝撃を受けた。 だ・だ・大ちゃん?  見覚えのある顔が堂々と射場で弓を引いていた。 なんでここに大ちゃんがいるの???  大ちゃんこと、笹倉大輔(ささくら だいすけ)15歳。同い年の男の子。 小学5年まであたしの家の隣にある大きなアパートに住んでいた。誕生日も10日違い。 おまけにお互いの母親が学生時代の親友とくれば、行き来もしょっちゅう。 小学3年まで大ちゃんのお父さんと3人でお風呂なんか入っていた。 大ちゃんもうちに来てはご飯を食べて行くなんて日常茶飯事。兄弟のいないあたしにとって大ちゃんは兄弟も同然だった。  小学5年になる春に大ちゃんのうちが隣町に新しい家を建てた。南町にあるあたしの家に対して、大ちゃんちは東町。当然、小学校を転校していった。  あれから5年。学校へ行く時も帰るときもいつも一緒だったのにあたしは大ちゃんのいない生活にすっかり慣れた・・・それなのに、いまさら現れるなんて!!!! 顔・・・変わってないな・・・。 人間って5年ぐらいじゃあんまり変わんないんだ。  弓を引き終わった大ちゃんがあたしの痛い視線を受けて振り向いた。  時間にして0.5秒。見つめられた気がしたけど、大ちゃんはぷいっとよそを向く。 あれ?あたしに気づかなかったのかな?
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