第1章

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 それは昔、昔のお話。  俺にとってちょっと思い出したくない過去。  だけど忘れられない過去。 「大輔お前下手だな。」  俺の蹴ったサッカーボールははるか彼方へ飛んで行った。  サッカーの上手い達也がそう言うと、冷ややかな笑いが起こる。 「大ちゃんどけて。あたしがやるわよ。」  背後から猛ダッシュをかけた泉が俺の前に躍り出た。 「女なんかにできんのか?」 「1対1でいいわよ。あたしが勝ったら大ちゃんに謝りなさいよね。」 「いいぜ。」  泉が勝ってなぜ俺に謝るのか分からないけれど、とりあえず呆然と立ち尽くしたまま泉と達也の1対1を見届けることとなった。
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