6.敵だらけの会社

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「それに……」 「はい?」 「ギター弾く手で、暴力はどうかと思う……」 「…………!」    つい口にしてしまった自分が恥ずかしくて、俯いた。  何でこんなことを言ったんだ、私は。 「そこ、心配してくれるんですか?」  フッ、と笑ってこちらを見た。 「……っ、別にアンタを心配してるんじゃなくて楽器が可哀想だからよっ」  よくわからない弁解をしても、ニヤニヤするのを止めてくれない。  こんなに調子が狂う人間は、初めてだ。
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