6.敵だらけの会社

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「あ、その日は俺が迎えに行くんで家教えてくれません?」 「い、嫌よ。絶対に教えないし、行かないから!」  話を進めようとする森野君を振り切ろうと足を早めた。 「日曜日、空けといてくださいね」 「…………」 『賭け』のことは高井からはその日のうちに謝罪があった。同じ課にいる以上やりにくいのもあるからだろう。  他の連中はよそよそしいというか、ますます私を怖れたようで。この件は一先ず解決した。  しかし、一難去ってまた一難。今度は森野君が仕掛けてきた。  彼は一体何を企んでいるのだろうか。迎えに行くとか……。  家の場所は黙りを通し続けるつもりだが、抜け目のない彼がどうでるのやら。  週末まで変な緊張感に包まれていた。
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