第1章

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私は、今から二千年ほど昔に生まれました。 装飾が施された豪勢な槍としてではなく、一般の兵士が用いるような簡素な槍として。 薄暗く、全てを焼き尽くすような温度の鍛冶場で。 私はそんな場所で生まれた。 私にはたくさんの兄弟がいる。 何百、何千、数は私も知らない。 ただ、みんながみんな同じ姿形をしている。 もし、それが今の世で、人だったなら、ドッペルゲンガーとでも言われ、都市伝説と騒がれたかもしれない。 話しがそれましたね。 すみません。 そんな兄弟達のうちの一部と私は、縄でくくりつけられ、ローマ帝国軍に引き取られました。 他の兄弟達がどうなったのか、私は知りません。 街の武器屋に引き取られたのか、他の軍に買われたのか。 そのころは、私と兄弟達に違いなんてなかったから、私がローマ帝国軍に引き取られたのは、本当にただの偶然だったのでしょう。 帝国軍で、粗悪品ではないかを検査された私は、すぐにロンギヌスという兵士に支給品として配布されました。 ロンギヌスは、髭面の、イケメンではない、いたってふつうのおじさん。 どうせなら、イケメンな兵士に使われたかったけど、自身の仕事をキチンと理解している私は、文句を言わず、初陣を今か今かと待ち続けました。
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