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私は、今から二千年ほど昔に生まれました。
装飾が施された豪勢な槍としてではなく、一般の兵士が用いるような簡素な槍として。
薄暗く、全てを焼き尽くすような温度の鍛冶場で。
私はそんな場所で生まれた。
私にはたくさんの兄弟がいる。
何百、何千、数は私も知らない。
ただ、みんながみんな同じ姿形をしている。
もし、それが今の世で、人だったなら、ドッペルゲンガーとでも言われ、都市伝説と騒がれたかもしれない。
話しがそれましたね。
すみません。
そんな兄弟達のうちの一部と私は、縄でくくりつけられ、ローマ帝国軍に引き取られました。
他の兄弟達がどうなったのか、私は知りません。
街の武器屋に引き取られたのか、他の軍に買われたのか。
そのころは、私と兄弟達に違いなんてなかったから、私がローマ帝国軍に引き取られたのは、本当にただの偶然だったのでしょう。
帝国軍で、粗悪品ではないかを検査された私は、すぐにロンギヌスという兵士に支給品として配布されました。
ロンギヌスは、髭面の、イケメンではない、いたってふつうのおじさん。
どうせなら、イケメンな兵士に使われたかったけど、自身の仕事をキチンと理解している私は、文句を言わず、初陣を今か今かと待ち続けました。
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