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その間、健斗と正輝は出された問題を真剣に考えていた。
そして亜美がコーヒーを淹れ、千尋に手渡す。
それを受け取った千尋はコーヒーを一口飲むと、健斗と正輝に向けて口を開いた。
「それで、君達ならどう対応すれば良いと思うのかな」
千尋が問いかけへの返答を促すが、健斗は女性と接した経験があまり無い為に口を開けないでいた。
そんな健斗の様子を見た千尋は、正輝に視線を送る。
正輝はその視線に気づき、口を開く。
「あまり急かすと、余計にプレッシャーを与えてしまうので、一通り店を見て回り、時折提案をしながらも、根気強く待ち続ける対応がベストだと思います」
正輝の答えに満足したらしい千尋は、満面の笑みを浮かべる。
「そうだな。男にとっては大変かもしれないが、それがベストだろう。女がどうしても決められないなら、最後は決めてやるのもいいかもしれない。女にとっての決断力を養う訓練だと思って、しばらく辛抱してやればいい」
千尋の満足そうな顔を見た健斗は、正輝との差を見せつけられ少し落ち込んでいた。
そんな健斗の様子など気にする事なく、千尋は口を開く。
「では今回君達が目撃した事案についてだが、こういう女は同性の私でも腹が立つな。まずは女にどう対応して欲しいかを考えてみるか」
千尋の言葉で、健斗は何か思いついたのか、勢いよく挙手をする。
「お、元気がいいな。では健斗君。聞かせてくれ」
「はい。女のセリフですが、『何でもいいよ』では無く、『ちょっと思いつかないから、いくつか案をだして』と言って貰えると印象が違ってくると思います」
健斗の意見を聞いた千尋と亜美は、うんうんと頷くと、健斗の意見を受け入れる。
「それいいねぇ。それだと男の方も一気に案を出せるから、選択肢が広がって、否定する可能性も減るしね」
「そうだな。案を出して否定されるのは気分が良くないものだ。君の意見は実に良い」
女性2人が満足した事により、健斗は自信が出てきたのか、笑顔になる。
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