恋愛ホルモン

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高校2年生の春。 クラス替えが行われ、生徒達は新しい交流へと血気盛んな頃。 新学年がスタートし、3週間が経過した頃、若い男女達はイケてるグループを結成する為、自分がイケてるとアピールする為に、無駄にはしゃいだりする。 世に言うイケてる男子グループと言うのは、運動部に所属し、各部のレギュラーを中心に結成される事が多い。 そんなアピール合戦が行われる中、バスケ部で3年生を差し置いて、見事にレギュラーに選ばれ、最高クラスのルックスを持った正輝の周りには、青春を楽しむ為に、イケてるグループに入る為に、男や女が群がっていた。 そしてこの学年で正輝と同じクラスになった健斗は、正輝の横で群がる輩に作り笑顔を向ける。 正輝のオプション的存在として認知され、正輝との会話のついでに健斗に話しかけてくる男女に、愛想笑いを絶やす事無く、無難に過ごしていた。 そんな日々の中で、健斗は自分の存在が正輝の世界のごく一部に過ぎないという思いに駆られ、自分の世界を欲していた。 そのような想いは、中学から引き継いでいて、中学まで同じバスケ部に所属していた健斗は、自分の世界を作る為、正輝の誘いを断り、パソコン部に入部する事にした。 一年の頃は正輝とは別のクラスであり、たまに一緒に帰る時や、休日に遊ぶ時ぐらいしか接する事が無かったが、2年での正輝と同じクラスという環境は、健斗の自信、存在価値を無くす要因となる。 幼馴染であり、親友と呼び合う正輝に対し、こんな感情を抱く自分に嫌気がさす。 しかし、正輝の世界から解放される放課後の部活が、待ち遠しく思い、その時間のおかげか健斗は何とか正輝との関係を保てていた。 そして2学年になり2か月が経過する頃、正輝には詩織という彼女が出来た。 健斗をオプションとして扱ったうちの1人だ。 羨ましいという気持ちもあったが、これで正輝と接する時間が減ると思い、健斗は心の中で喜んだ。 案の定、正輝は彼女との時間を大事にし、健斗と接する時間は大幅に減る。 健斗の心が安定し、精神的に落ち着き始めた頃、健斗に近づいてくる女が居た。 「健斗君。お願いがあるんだけど」 女は少し顔を赤らめながら、緊張した面持ちで話しかけてくる。 この女は正輝の彼女、詩織の友達で、いつも詩織と行動を共にしていた優香という女だ。
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