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優香も健斗をオプション扱いしていた節がある為、警戒しながら問い返す。
「何?」
短い言葉ながらも、内心は緊張しており、堂々とした態度を演じながら必死に言葉を吐き出す。
すると優香は声を少し震わせながら、こちらも必死そうに言葉を吐き出した。
「……今度ね。詩織と正輝君……と一緒に遊びに行かない?」
つまりダブルデートをしようと言うことだ。
健斗は想像しただけだが、ダブルデートというものは物凄く苦手と感じてしまう。
相手カップルに気を使いながら遊び、こちら側の恋の進展を促そうと余計なお節介をする空気感を醸し出す。
ましてや正輝がいると、健斗は自分の存在、そして優香の存在も正輝の世界のごく一部と感じてしまい、嫌になる。
そんな事を考えていると、健斗は自然と口が開いた。
「ごめん。俺大勢で遊ぶのとか、苦手なんだ」
果たして4人が大勢に入るのか、少し疑問に思ったが、健斗は断るつもりで言った。
これで会話が終わると思っていたが、優香は再び口を開いた。
「じゃ、じゃあ……2人で!2人で遊びに行こうよ」
優香は想定外の答えを返してきた。
てっきり詩織との友達付き合いの延長で、ダブルデートを提案して来たのだと、疑っていた健斗は、自分に好意を寄せてくれていると思い、嬉しくなった。
「……いいよ。じゃあ今週末でどう?」
初めての経験に、少し声が震えながらも、健斗は日にちを提案する。
「うん。楽しみにしてるね」
そう言うと優香は、恥ずかしさを紛らわすように、健斗から離れて行った。
そして健斗も、早くなる心臓の鼓動を感じながら、週末を楽しみに待つ事になった。
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