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いつになく真剣な表情で言う優香に、健斗は緊張しながらも口を開く。
「何?」
「……私たち、別れようか」
突然突き付けられた衝撃の言葉に、健斗は頭が真っ白になる。
「ごめん。別れて」
言葉を発しない健斗に、優香は追撃を喰らわした。
2回同じ言葉を言われ、さすがに何を言われたか理解した健斗は、慌てて疑問を投げかける。
「なんで、なんで急にそんな事」
「……ごめん。私の気持ちが……離れちゃったの」
健斗は、パニックになり、必死で言葉を吐き出す。
「お、俺に原因があるなら、これから気をつけるから。誠実で優しく出来て無かったんなら謝るから」
優香の理想のタイプに近づこうとしていた健斗は、上手く出来ていなかったのかと、自分を責め、関係を繋ぎとめようとする。
「ううん。健斗君は誠実で優しかったよ。とにかくごめん。別れて」
優香はそう言うと、健斗を置き去りにし、公園から立ち去った。
ブランコに座っていた健斗は、そこから落ちる様に、地面に膝を着く。
そして両手を地面に置き、体を必死で支えると、自然と涙が出て来た。
「なんでだよ!誠実で優しい人が好きだって言ったじゃないか」
体に力が入らず、四つん這いの体制で流す涙は、一滴一滴地面を濡らしていく。
一方的に告げられた別れ話は、健斗の心に突き刺さっていた。
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