恋愛ホルモン

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亜美も声を落として答えると、千尋は更に声を荒げる。 「こんな男のどこがいいんだよ。また気になる女が現れたら、同じように裏切るんだ。なんで綺麗な話にまとめてんだよ!」 千尋は声を荒げたせいか、飲みかけのコーヒーを一気に飲み干す。 すると少し落ち着いたのか、健斗と正輝が居る事に気づいた。 「おう。君達来てたんだな。とりあえずゆっくりしたまえ」 千尋は取り乱していた事を恥じる事無く、亜美に空になったカップを渡している。 おかわりの催促をしているのだが、毎日大量のコーヒーを飲んでいる千尋の体を、健斗は密かに心配していた。 「すみません。研究事案が出来ましたので、報告したいのですが」 正輝は鞄からメモ帳を取り出すと、亜美がコーヒーを淹れ終わるのを待つ。 亜美は淹れ終わったコーヒーを、千尋に手渡すと、手慣れた様子でホワイトボードを準備した。 その様子を見ていた千尋は、口を開く。 「では、報告を頼む」 その言葉で、正輝は先ほど食堂で聞いた男女の会話と、その後の男二人の会話を報告し始めた。 正輝の報告が終わると、千尋は片手を口元に当て、何かを思考し始める。 そして数秒が経過すると、健斗に向けて口を開いた。 「健斗君。君もこういう経験をしてるんじゃないか?」 その言葉に健斗は暗い表情をする。 今朝の悪夢で、当時の事をはっきりと思い出した健斗は言葉を出す事が出来なかった。 「図星か……」 千尋は淹れたてのコーヒーを一口飲むと、再び口を開いた。
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