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藤ヶ崎大学の近くにある、学生御用達の居酒屋には、お馴染みの面々が顔を連ねていた。
「「「「かんぱーい」」」」
健斗と正輝、そして千尋と亜美は、それぞれに持ったグラスを片手に、互いのグラスをぶつけ合う。
千尋は勿論の事、すでに誕生日を迎え20歳になっていた亜美は生ビールを。
現役で入学した健斗と正輝は、未成年の為に、ウーロン茶を飲んでいた。
「いやー。君達には感謝してるよ。有難う」
千尋は上機嫌で、一気にビールを飲み干す。
その様子を予想していた亜美は、すでに店員を呼んでおり、生ビールを追加注文していた。
亜美は本当に優秀で、秘書にでもなったら大活躍しそうだ。
そんな様子を見ながら、健斗は亜美に尊敬の眼差しを向けていると、正輝が口を開く。
「教授。今日はごちそうになります」
その様子を見た健斗と亜美も慌ててそれに続いた。
「「ごちそうになります」」
「かしこまらなくてもいいぞ。君達のおかげで、データも順調に集まっているからな。そのお礼だ」
千尋は満面の笑みを浮かべながら、追加で来た生ビールに口をつける。
こんな美人で大人な女性と食事をするのは初めてで、健斗と正輝は何だか大人な気分を味わっていた。
すると千尋がさらに言葉を続ける。
「そうそう、健斗君。君にはもう一つお礼があるんだよ」
そう言うと、千尋と亜美はアイコンタクトで意思疎通し、亜美はバッグからメモ帳を取り出した。
「えーと、健斗君の想い人。名前は坂下瞳。年齢は健斗君と同じで……」
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