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「ちなみに俺も昨日、少し髪切ったんだぜ。気づかなかっただろう」
そう言われた健斗は正輝の髪を観察するが、全体的に少し短くなった気もしないでもない。
「悪い。言われて何とか気づけたよ。分からないもんだな」
「まあ男同士なんてそんなもんだろ。わざわざ報告したりもしないからな」
その後も2人で思考を凝らしていたが、正輝の言葉で終わりを迎える。
「まぁ教授に聞いてみようぜ」
その一言で、2人は思考を停止し、残りの講義に集中する事にした。
そしてこの日の講義を全て受け終えた2人は、教授室へ向かい部屋の中へと足を踏み入れる。
「失礼します」
お決まりのように先を行く正輝の後に続いて、健斗も中に入った。
「失礼します」
中に入ると、千尋はパソコンと向き合っており、キーボードを夢中で叩き、こちらには気づかなかった。
すると二人に気づいた亜美が、近寄ってくる。
「あっ!正輝君、髪切ったんだね」
今日出会ってすぐの亜美の言葉に、2人は驚き、互いに目を合わせる。
いつもと違う2人の様子に、亜美は首をかしげていた。
「どうしたの?」
亜美の言葉に慌てて正輝が口を開く。
「何でもないですよ。それより良く気づきましたね」
「何となく分かっちゃったの。2人ともコーヒー飲む?」
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