女の勘

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「このように女性は、右脳、左脳。脳の様々な場所を接続して働かせる事が長けているので、マルチタスク脳などとも言われています。女性は複数の作業を同時にする事に長け、男性は単一の作業をする事に長けている事も、脳の働き方が関係しているのかもしれません」 ここまで長く難しい話を説明してくれた千尋は、自分の机にコーヒーを飲みに戻ると、またホワイトボードの前に立ち、[女の勘]、[記憶力]、[注意力]と書いた。 「ここで問題です。女性には記憶力と集中力が高まる時期があります。それはいつでしょうか。ヒントは女性特有のものです」 突如出された問題に3人は考え始める。 しばらくすると、何故か健斗と正輝は気まずそうにしていた。 その様子を見た亜美は、手を上げる。 「はい」 「亜美君。答えをどうぞ」 「生理の時期ですか?」 亜美の答えを聞いた千尋は、[記憶力]の下に[生理時期]と書き込んだ。 「亜美君、正解です。このようにマルチタスク脳と記憶力と集中力が上がる事。これが[女の勘]ではないかと言われています。普段とは違う、少しの変化でも気が付き、浮気などはそれを元にして、推測しているのです」 ようやく説明が終わったのか、千尋は机に戻り、残りのコーヒーを一気に飲み干した。 一方で説明を聞いていた3人は、集中して聞いていた為か、少し疲れた表情を見せる。 すると説明スイッチを切った千尋が亜美に話しかける。 「亜美君。君は正輝君の髪型の変化に気づいたようだが、今生理時期なのかね?」 あまりにも遠慮の無い質問をする千尋に、健斗と正輝は気まずいのか、少し顔を伏せる。 しかしそんな心配を余所に、亜美は普通の口調で答えた。 「そうなんですよ。生理痛が酷くて、嫌になります」 それからしばらくは、亜美と千尋の女同士の会話が続き、それを目の前で聞かされていた健斗と正輝は、落ち着かない様子で聞いていた。
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