それは唐突に。

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その場にうずくまって、制服の袖で涙を拭う。 どうしようもなく、胸が痛い。 心が泣いてる。 「ううぅ……!」 その時、握りしめていたケータイが震えた。 メールだ。 着信画面を見てみると、【なつき】と表示されていた。 「うー」 涙で歪む視界の中、メールを開く。 でも、メールの文章を見た途端、あたしの涙は一瞬にして引っ込んだ。 【メールの文字多すぎ。読みにくい。だから全部読んでないけど、返信するわね。 とりあえず、落ち着きなさいよ】 「……」 なっつー……。 冷たい、冷たいよ!人間ブリザード! あたし今傷心中なの!それなのに、なっつーにまであしらわれたらもう立ち直れないよ! あたしが送ったメール、全部読んでないにしても、大丈夫?とかあたしを心配するような返信はないのか。 あたしが心の友と崇めるなっつーの冷たさに打ちのめされていれば、再びメールの着信。 なっつーだ。 また苦情メールだったら、あたしのガラスのハートは粉々だぞ。 と、画面を進めれば。 【要点だけまとめたメールちょうだい。愚痴は省いて。 一人で泣くんじゃないわよ】 な、なっつー!心の友! そのメールを見たあたしは、一瞬にして復活を遂げた。 流石はあたしの心の友。あたしが泣いてるんだって、メール送っただけで分かっちゃうんだ。
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