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「いいかー、よく聞け瑛弥(えいみ)。俺は昨日、なんと同じクラスの本多理紗(ほんだりさ)にコクられた」
「本多さん……?いっちゃん、もうちょっと現実味ある嘘にしてよ」
「おう、俺も初めは冗談かと思った。だが違った!正真正銘、真剣交際の申し出だった!あの本多理紗が!俺に!」
やっぱり頭おかしいよ。よりにもよって、本多さんなんて。
あたしたちと同じクラスの本多さんは、誰がどう見ても綺麗な人で、間違ってもいっちゃんなんかに告白するような人じゃない。
「で、俺は本多理紗と付き合うことにしたから、明日からは朝一緒に行けねーや。悪いな」
明日から、いっちゃんと一緒に登校できなくなる……?
なにそれ。
悪いって謝ってる割に、いっちゃんは嬉しそうだ。
「明日から、本多さんと一緒に行くの?」
「おー」
「……ふーん」
「ハハ、マジごめんなー!お先に彼女作っちゃってー」
「……」
分かっていた。
あたしはいっちゃんにとってただの幼馴染みで、まったく女扱いされてないことも、分かっていたけど。
いっちゃんの近くにいる女の子はあたしだけだったから、油断してたんだ。
いっちゃんにあたし以外の彼女ができるなんて、夢にも思わなかった……。
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