それは唐突に。

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……なんて、言えるわけもなく。 「ねーねー、瑛弥!あんたの幼馴染み、まさかのマドンナゲットしちゃうなんて!やばいよ、天地がひっくり返る!」 「でもまあ、おめでとう!飽きられてポイされないことを祈るよ」 「うおー!!壱也(いちや)に理紗ちゃんは勿体ねえ!別れろー!今すぐ別れろ!そして俺と付き合って理紗ちゃん!」 「むしろ俺と!!」 ……いやクラスメイトの諸君。 何故それをいっちゃんでなくあたしに言う。 「……みんな、いっちゃんに直接言いなよ」 「バカ野郎!あの空間を見てみろ!」 一人の男子が涙ながらに指を示した方向に顔を向けると、そこにはいっちゃんと本多さんがそりゃあもう仲つつまじーく会話を展開させていた。 「ねえ、これから名前で呼びあわない?私は入江くんのこと壱也くんって呼ぶから、壱也くんは私のこと、理紗って呼んでほしいな?」 女の子の武器とやらをとことん熟知してるらしい本多さんは、上目遣いでいっちゃんを見つめて、首を傾げる。 ……ちょっと。 近い。近いよ、本多さん。 そんな体密着させなくとも、会話くらいできるでしょー!? 「そそそ、そうだな!理紗…………ちゃん」 いっちゃんの顔がゆでダコのように赤い。果てしなく赤い。耳まで赤い。 あたしが今までどんなに体を近づけても、まったく反応しなかったくせに。 ……ムカつく。
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