それは唐突に。

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「くそぅ、何なんだよ、あのリア充空間は!あそこだけ完全に二人の空間になってやがる!」 「あのピンクいオーラのせいで、俺たちは近づくことさえ叶わないんだ……!」 男子たちは頭を抱え込んで嘆いてるが、女子からの視線がゲテモノでも見るかのような蔑んだものであることには気づいてるのだろうか。……うん、気づいてないね。 てゆーか、あたしもあの男子の輪に混じって一緒に嘆きたい。いっちゃんのバカー!って叫びたい。 でも、それができないのは……。 「よーやく、壱也くんは瑛弥から卒業できたねー」 「良かったじゃん、瑛弥。常日頃、煩いだの喧しいだの文句言ってたけど、これでお守りから無事、解放だね!」 同級生のみんなにとってあたしといっちゃんの関係は、幼馴染みを大前提に保護者と児童、それだけのものだと思われてるからだ。 あたしは大変あまのじゃくらしく、いっちゃんのことが大好きで堪らないのに、それを公言できないでいた。 いっちゃんはただの幼馴染み。 あたしはいっちゃんのお守り。 恥ずかしさからそうやって言い広めてきたけど、それが今になってあたしに大ダメージを与えてくるとは。 ……クラスメイトの誰も知らない、あたしのいっちゃんへの気持ち。 知られてないからこそ、みんなは「良かったね」なんてあたしにとってはちっとも良くない賛辞を贈る。 あたしは、いっちゃんが好きなのに。 いっちゃんに彼女ができたこと、喜ばないといけないなんて。 ……最悪だ。
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