プロローグ

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高並 晴人(たかなみ はると)は困惑していた。 今の状況が、まったく理解できていなかったからだ。 「落ち着け。落ち着け、俺。決して早まるなよ」 左胸に右の掌をあて、深呼吸をする。 「まずはわかっていることからだ。俺は高並晴人。県立南河高校に通う二年生。歳は17歳。部活には入ってない。よし、ここまではいいな。正常だ」 もう一度、今度はさっきよりも深く深呼吸をする。 「昨日はいつも通り七時に起きて、学校にいった。とくになにもなく学校を終えて、寄り道して家に帰った。んで、夕飯食って風呂入ってベットに入って寝た。うん、別になにもないな。まったく問題ないな。びっくりするくらい普通だ」 じゃあ次は、と自分の左手首をちらりと見つつ、周りを見渡す。 「この状況だ」
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