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帰り道でマヤさんが僕に言った。 「翔大。今、弟の純くんは留守だったけど、彩花ちゃんと純くんを、ママは翔大に接するように接したい。 ママは世界中にたった一人だけだからさ…… 私に恵子の代わりは出来ないけど、それでもママは二人を自分の子供と同じように接するつもり。  ………良いよね?」 僕は自分の母親ながらも、マヤさんをカッコ良いと思いながら頷いた。 そしてその瞬間思った事を口にした。 「お母さんとお父さんが同時に死んじゃうなんてツラすぎるよ……僕は彩花ちゃんの前で、お母さんをお母さんとは呼びずらいな」 両親を亡くしたばかりの彩花の前で、マヤさんをお母さんと呼ぶことは、酷く残酷な事のように思えたのである。 マヤさんは複雑そうな表情を浮かべ、ちょっと考え込んで笑った。 「翔大は今日からママをマヤさんと呼びな。 あの子達にもそう呼ばせるし、ママはもう、自分の事をママとは言わない」 それが僕にとって『お母さん』と言う言葉の最後。 マヤさんにとっては『ママ』と言う言葉の最後だった。 不意にマヤさんが撫でるように優しく僕の頭を叩いた。 「翔大。生意気だぞ………  寂しいけど………嬉しいよ」
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