ある話

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A few days ago 5w of 1 ‘‘Sword’’ 遠く遠い東の小さな島国。 昔は他国からの脅威を守るために自ら殻に閉じこもって独自の文化を築いていった国も遥かな時を超えた現代。すっかりと他国と手を結び向こうの考えた法に従い、代わりに脅威から身を守ってもらう制約の社会。 そんな箱の中で生活するこの国は娯楽に関する発展が凄まじい。なにしろ、それを目当てに遠くの国から来る奴等もいるくらいだ… 普通の奴等なら当然、楽しく生活は出来るだろう。 だが、俺みたいに少しばっかり事情の違うやつには、昔この国にいたという『侍』の環境のほうが憧れるかもしれない… 「ちっ、いかんなぁ。普段より回数が減っていやがる…」 日頃のトレーニングを終えて総確認する。内容は至極単純。二時間内で室内トレーニング(腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット等)を出来る限りやること。 「気が散ってしょうがない…」 八つ当たりぎみに窓から階下を睨みおろす。 どうにもこの国の中心は朝も夜も絶えず騒がしい。 換気のため窓を開けると騒がしさは増して止む気配を出さないので、汗を拭きながら冷蔵庫から水を一口飲んで気分を落ち着かせる。 「っはぁ… 昔はもっと静かだったんだけどなぁ…」 薄っすらとした記憶を思い出す。 こことは違う山奥。 朝は木々の水滴が風に吹かれ靄となり鳥のさえずりと共に日光が照らす。 昼になると活動を始める動物、木々、虫。それら自然の連鎖。 夕方も近づくと、陽はみるみると落ちて辺りは世界が変わったかのように静まる。 俺の幼少時代はこの国に住んでいた。というより育てられたといったほうが早いか。もちろん、いま住んでいるところとは賑やかさも無い自然の環境の山奥でだ。 俺の外見は黒髪黒目。しかも日本語が理解できる。よって日本生まれだが生んでくれた親を知らない。 育ててくれた人曰く「捨て子のくせに、親の最後の情けか退魔の護式が張られていた」だとさ。んで俺は何も襲われず無事にその人に拾われたんだけど、その人も一癖ある人間で…刀鍛冶師をしていた。 会話も余り好まない人で己の刀に信念を持ってひたすら打っていた… 世は二千年も過ぎた時代。刀鍛冶師の生活も只一人真っ白い剣士の刀を直すことで生活をしていた。 およそ、世間から離れた生活…
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