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「今すぐじゃなくても良いから、考えてみてくれないか?」
トン――。
と、白いテーブルクロスの上に彼が静かに置いたのは、シルバーの指輪ケース。
蓋を開けて、私の方に向けられるその小箱の中には、プラチナ台の指輪が入っていた。
大振りの、おそらくはダイヤモンドだろう透明な宝石が、指輪の上にドンと鎮座している。
こ、これが、俗に言う『給料三ヶ月分』ってヤツだろうか?
た、高そう……。
シャンデリアの明かりを受けてキラキラと美しい輝きを放つ宝石のまばゆさに、一瞬見とれて、ハッと我に返る。
私を見詰める直也の瞳はあまりにも真っ直ぐで、迷いがなくて、
思わず逃げるようにワイングラスに手を伸ばして、コクリと赤い液体を口に含んだ。
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