0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇねぇ!!」
こんなに酷い世界なのにいつでも無邪気に笑うキミがボクは羨ましかったんだ。
ふわふわ
ニッコリ
ニコニコ
クスクス
あははははっ
いろんな笑い方で、会った時キミはいつも笑ってた。
「ん?どうしたの?」
「あのね!!あの公園覚えてるでしょ!?」
「うん、覚えてるよ」
忘れるワケがないよ。
だってあの公園はボクにとってーーー...
「久しぶりに遊びに行こうよ!!」
まったく、お姫さまはワガママなんだから。
こうなったキミはボクが折れるまでゼッタイに折れないんだよね。
「うん、行こっか」
ニッコリ笑って頷けば、雲間からお日様が出たみたいにぱぁっと輝くキミの笑顔。
ほら、この笑顔があるから、ボクは断れないんだ。
「いつ行くの?」
「明日がいいっ!!」
明日かぁ...
「明日は無理だよ」
「なんでっ!?いいじゃん行こうよぉ~」
プクッと頬を膨らませるキミに苦笑を零せば、キミは一層怒ったような顔をした。
そんな顔をされても…
「主さまに怒られちゃうよ」
「そっかぁ…」
ため息って言うにはおっきすぎるくらいはぁ…って息を吐き出してしょぼーんとなったキミの頭を撫でれば、「子ども扱い」って呟かれた。
子ども扱いってボクのがお兄ちゃんみたいなんだもん。当たり前でしょ?
言ったらキミはまた怒っちゃうから言わないけど。
「明日はお仕事なの?」
アレをお仕事って呼べるキミはやっぱり凄い。
「うん、まぁ…」
「ゼッタイ?」
「うん…。ごめんね?」
「むぅ~」
いつもと違ってしつこいくらいに何度も聞いてくるキミに疑問を抱いたのは確か。
だけど、ボクはそんなに行きたかったのかなぁ…なんて思っちゃったんだ。
ーーこれがキミを助けられる最後のチャンスだったのに。
「あ!!鳥さんだぁ!!」
うわわっ。
急に動かないでよ、びっくりしたぁ。
ボクが文句を言ってもキミはお空を指差してはしゃいでた。
聞こえてないなぁ…
ちょこっと呆れながら、キミの指差す方向を見れば鳥の群れが丁度飛んでいくところだった。
「わたしね、いつか鳥さんみたいにお空を飛びたいんだぁ!!」
人間はお空を飛べないよ。
いっつもだったら言うんだけど、嬉しそうな顔を見たら何も言えなかったんだ。
それがボクらのいつも。
変わることなんてないはずだったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!