第2話【疑問】好きと愛しているの間には。

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「ったく……何年経ったと思っているのよ? いいかげん忘れなさいってば、諦めが悪いやつめっ」 一人ごちって、テレビの画面にぼうっと視線を走らせる。 伊藤君は、大学を卒業して体育の教師になったと、いとこの浩二から聞いていた。 何でも、母校でサッカーの顧問をしているっていうから、彼らしい。 今も、きっと、あの頃と変わらない真剣な眼差しで、ボールを追っているんだろう。 感傷めいた思いに浸りながら、グビリと一口缶ビールを口に含んだ、その時。 テレビの中で、緑のグランドを縦横無尽にボールを蹴り出していく一人の選手の姿がアップになった。 青いユニフォームが、風のようにグランドを駆け抜けて行く。 「えっ……?」 見覚えのあるその風貌に、思わず鼓動がドキンを大きく跳ね上がる。 ま、まさか……? そんなはずはない。 だって、伊藤君は、母校の体育教師になったって――。
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