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その言葉に、嘘はない。
あんないい人、二十五年という私の人生の中でも、滅多にいやしないって、そう思う。
「じゃあ、聞くけど、愛してる?」
「え……」
『愛してる?』
って、聞かれても、私に即答は出来ない。
だって。
愛って、何?
付き合っているから、愛してる?
恋人だから、愛してる?
分からない。
確かに、直也は初めての恋人だし、尊敬できるし、いい人だ。
好きだって確信はあるけど、だからと言ってそれが『愛している』ってことなのか、分からない。
だって、他に比べようがないんだから。
私の中に、その明解な答えは、まだ形作られていない。
「私から見ても篠原さんは良い男で、しかも良い夫になる人間だと思うよ。まあ、後悔しないように頑張りなさい」
答えに詰まっていると、礼子さんは『はぁっ~』っと長いため息をついて、私の肩を労るようにポンポンと叩いた。
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