第2話【疑問】好きと愛しているの間には。

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その言葉に、嘘はない。 あんないい人、二十五年という私の人生の中でも、滅多にいやしないって、そう思う。 「じゃあ、聞くけど、愛してる?」 「え……」 『愛してる?』 って、聞かれても、私に即答は出来ない。 だって。 愛って、何? 付き合っているから、愛してる? 恋人だから、愛してる? 分からない。 確かに、直也は初めての恋人だし、尊敬できるし、いい人だ。 好きだって確信はあるけど、だからと言ってそれが『愛している』ってことなのか、分からない。 だって、他に比べようがないんだから。 私の中に、その明解な答えは、まだ形作られていない。 「私から見ても篠原さんは良い男で、しかも良い夫になる人間だと思うよ。まあ、後悔しないように頑張りなさい」 答えに詰まっていると、礼子さんは『はぁっ~』っと長いため息をついて、私の肩を労るようにポンポンと叩いた。
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