出来言

16/27
前へ
/40ページ
次へ
アイツの言葉を借りるなら。 「今日も今日とて、冬杜は、まったく。筒抜けじゃないか」 「ウチの台詞を持っていっちゃったね」 「うぇぇえ!?」 後ろから冬杜の声がしたと思いきや、後ろにいた。 ずっといたかのように存在していた。 何時から居たんだ、と疑問に思うのも束の間、ずっといたんだと納得する。 そしたら、僕が一女生徒に当たり負けしたのも見ていたとしても、説明がつく。 そっか。 見られたんだ……。 「ちょっとちょっと祇園君。急に床に手を付くほどに落ち込んでどうしたの?背中からキノコが生えそうだよ?」 「あぁ、いいんだ、放っておいてくれ。キノコは映えるから大丈夫」 女の子に、女の子とぶつかって当たり負ける所を見られるなんてショックだ。 さらに女の子に負けるという現実を突きつけられてショックだ。 ダブルパンチだ。 あ、ポテチ食べたい。 「なんだかわからないのだけど、ウチが言ったのは“生える”であって、祇園君が言ったのはなんだか“映える”だったと思うのだけど。もうキノコ生えてきてることになっちゃってるよ」 さすがだよ……。 こんな僕の分かりにくいボケを拾っていくなんて。 だが、この状態を解くことなんて出来やしないんだ。 「ほら行くよ祇園君。スカートの中なんて見てないで行くよ。ウチでも退くよ」 バレてる!? さすが……冬杜さん。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加