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アイツの言葉を借りるなら。
「今日も今日とて、冬杜は、まったく。筒抜けじゃないか」
「ウチの台詞を持っていっちゃったね」
「うぇぇえ!?」
後ろから冬杜の声がしたと思いきや、後ろにいた。
ずっといたかのように存在していた。
何時から居たんだ、と疑問に思うのも束の間、ずっといたんだと納得する。
そしたら、僕が一女生徒に当たり負けしたのも見ていたとしても、説明がつく。
そっか。
見られたんだ……。
「ちょっとちょっと祇園君。急に床に手を付くほどに落ち込んでどうしたの?背中からキノコが生えそうだよ?」
「あぁ、いいんだ、放っておいてくれ。キノコは映えるから大丈夫」
女の子に、女の子とぶつかって当たり負ける所を見られるなんてショックだ。
さらに女の子に負けるという現実を突きつけられてショックだ。
ダブルパンチだ。
あ、ポテチ食べたい。
「なんだかわからないのだけど、ウチが言ったのは“生える”であって、祇園君が言ったのはなんだか“映える”だったと思うのだけど。もうキノコ生えてきてることになっちゃってるよ」
さすがだよ……。
こんな僕の分かりにくいボケを拾っていくなんて。
だが、この状態を解くことなんて出来やしないんだ。
「ほら行くよ祇園君。スカートの中なんて見てないで行くよ。ウチでも退くよ」
バレてる!?
さすが……冬杜さん。
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