出来言

22/27
前へ
/40ページ
次へ
もしも仮に、身内が困っているのなら、問題に直面したのなら。 僕は自分を犠牲にして、なんでも使って解決を手伝うだろう。 いや、絶対に手伝う。 「ごめん、柚子ちゃん、もうやめよう。価値観が違うんだから話しても埒があかない」 「本当に、ワタシ達の事が大好きだよね、お兄ちゃんは」 何を見て、思ったのだろうか。 「いや嫌いだよ。いつも気にしてないといけないくらいにな」 嘘だ、半分だけ。 でも訊かれたらこう答えてしまう。 家族ゆえに、正直には答えたくなかったりする。 「なにそれ、ムカツク」 ちっともムカツいてない口調で、そう言っていた。 それから談笑して、ご飯を食べて、夜子ちゃんが帰ってきて、両親も帰ってきて。 僕は自室に戻るのだった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加