1人が本棚に入れています
本棚に追加
IV
やることもなく暇だったゆえ、僕は外へ出ていた。
すっかりと日が落ちて暗くなり、空には星が瞬いている。
都会ではないが、田舎と言うほどの田舎でもないため、そこまで物凄い星達は見えないのだけど。
それでも。
綺麗なことに変わりはない。
暗くなってからの散歩は好きだ。
星も見えるし、風が昼間よりも澄んでいる気がするから。
いつもテキトーに適当に、歩く。
繁華街の明るさを感じる日もあれば、家から零れる光を眺める日もある。
今日はどちらかと言うと、後者のほうだな。
繁華街からは逸れた、住宅街をゆっくりと歩く。
何となく、自販機で飲み物を買ってから、近くの公園へ目を移す。
そこは、ど真ん中に大きな木が生えており、巷で有名な公園────って、あれ?
「人、か?」
大きな木の傍に誰かいる。
上を見据えているのか、後ろからだとあまり詳しくわからない。
僅かだが、紐か何かが木から垂れている気がする。
街灯がなく、暗くてわからない。
ただ、何か異様な感じがする後ろ姿だ。
「琴吹さん……?」
知らず知らずの内に口にしていた。
ただ、距離があるために自分にしか聴こえない。
そんな目の前の女の人は、跳んで、あろうことかロープに首をかけた。
かけたァぁぁあ!?
最初のコメントを投稿しよう!