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もう、本能のままに、無意識に、走る、駆ける、むしろ飛ぶ。
何やってんだ、あの人は。
首吊り自殺とか生で初めて見たぞ。
「オイ、何やってんだアンタは!!」
近寄ってみると、やはりその人は琴吹 言ノ葉、本人で、首に紐をかけながら僕を見た、見下ろした。
どうやって、降ろすんだ。
紐なんて切るものを僕は持ち合わせていない。
そもそも、無表情でよく僕を見続けられるな。
「一緒に首でも吊る?」
「吊らねェよ」
バカなのか、そんな事に応じるはずもなく間髪入れずに突っ込み、そこで我に返ったので、救出する。
しながらも、考えた、疑問だった。
一緒に首でも吊る、って何。
意味が分からねェよ。
数分もせずに助けだし、ベンチに腰掛けた。
もう第一印象は綺麗で、近寄りがたい人。だったのに。
今はもう、綺麗だけど謎多き、いや謎大き近寄りたくない人。
無口な雰囲気なのに、案外そうでもないらしく、あまり抑揚がない何処か不思議な声色が聞こえてきた。
「あら、貴方死人?」
率直な感想を述べよう。
どうしてそうなった。
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