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「僕は死人じゃないぞ」
そう言った。
言ってあげた。
まったく的を得ない質問に。
「あら、そうだったの。私はてっきり死んでいるのかと思ったわ。私がまともに話せるのは死人だけだと思っていたのよ、悪気はないわ、ごめんなさい」
「あ、いや……、別にいいよ、大丈夫」
何、わかんねェよ。
死人としか話せないってどういうことだよ。
そもそも死人が話せないだろ。
脳内で疑問がグルグル回っていると、またしても隣から抑揚が究極に抑えられた、と言うか飄々とした声が届く。
「貴方、放課後にぶつかった人よね。二度も遭遇するなんて奇遇ね、運命的だわ。お名前は?」
「祇園 空詩」
「祇園君ね。私は琴吹 言ノ葉。ある程度は暴れたから有名だとは思うのだけれど」
「あぁ、たしかに凄いらしいな。それより本題に入っていいか?」
このままだと、ずっと最後まで琴吹さんペースに世間話が進んでしまう。
「本題とは何かしら、そんなものがあったなんて驚きよ」
目が点になってる。
本当に点になってる。
「琴吹さん、なんで自殺しようとしたんだ?」
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