才色兼備の裏には、って話

考え言

　　　V

自室。
ここ１ヶ月で最も印象的で、インパクトありすぎの琴吹さんと遭遇してから早くも7日ばかりが過ぎている。

ずっと考えていることがある。
琴吹さんが誰にも言うなと口止め、いや脅迫か。
まァ、とりあえず髪の毛が揺れなかった現象についてだ。

何故、そんなことになったのか。
偶然かと思いもしたが、あれほどの強風に揺られないほど重い髪なんてことはないだろう。

次の思考。

実は髪の毛が浮かない病気。
でも、これもないはずだ。
そんな奇病は聞いたこともなければ、調べても出てこない。
ワックスで固めた可能性もあったが、何度も揺れているのを見た。
よって、こんな奇病でもない。

と、すると。
やはり。嫌な予感は的中なのかもしれない。
急に、髪が舞わなくなり、すぐさま僕に口止めをした。

そこで一番に過った考え。

琴吹さんは、要らぬ才能に取り付かれた、侵された。
僕と冬杜と同じように。

ただ、そんな小さな才に取り付かれたところで私生活には支障をきたさないと感じる。
髪の毛がいつ揺れなくなったとしても、それは変だなぁ、程度で済むから。

僕は１週間掛けて 、仮説を立てた。
言うなれば妄想だ。
そうであってほしくない妄想だ。