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VI
「どうしちゃったのかな祇園君?もはやストーカーだよ?」
「ちょっと事情があるんだ」
学校で冬杜といる、更に言うならばクラスで席に座りながらお話し中。
こんな風に男女二人きりで話していると、周りからは痛い視線を感じるだろうが、今はない。
放課後で誰もいないのだ。
そして、誰かいたとしても、そんな視線は僕も冬杜も気にはしない。
基本、周りにどう思われようと気にしない。
「祇園君、琴吹さんに避けられてなかった?」
「あれは僕を避けていたのか!?」
実行に移そうと、朝から琴吹さんとの接触を試みようとしたが全滅。
とうとう放課後にまでなってしまい、冬杜にも怪しまれる始末。
さて、どうしたものか。
「ウチが待ち合わせを頼んであげようか?」
「本当か!?アイツ死人としか話せないとか言ってたけど大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないかな。だってほら、ウチは普通の人間さんじゃないからね」
「なるほど。冬杜が言うなら大丈夫なんだろうけど。なら悪いけど頼むな」
「うん。あ、ここで、全然大丈夫だよ、なんて言えば普通の女の子っぽいのかな。じゃあ祇園君、暫く待っててね」
柔らかな笑みを残して教室を去っていった。
冬杜が自分から“普通の女の子っぽいかな”なんて言葉を言うのは初めてだ。
思い出して、思い知ったのかもそれない。
普通ではいれないと。
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