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「それで話とは何かしら」
「そうだね。祇園君がここまでした理由は何かな」
と二人の女生徒は僕に聞いてくる。
だが、しかし。
そこじゃないだろう。
しっかりとした謎が、目の前にあるだろう。
「そこはとりあえず置いておこう。何故、琴吹さんは僕を避けて、冬杜には応じたんだ?」
目の前の疑問を投げつけてやった。
横にいる琴吹さんに向けて。
「決まってるわよ。変態な眼差しで近づかれたら誰でも逃げるわよ。朝から襲いに来てるのだと思ってしまったわよ」
僕は知らず知らずに変態な目をしていたらしい。
無意識だ。
つまりは、僕の通常時が変態だと、そう言いたいのだろうか。
「僕は至って普通にしてたぞ?」
「なら、いつも変態なのね」
間髪入れず返ってきた。
もう泣いていいだろうか。
「祇園君、涙が出てるよ」
出てるらしい。
冬杜が自分の目尻を指差しながら教えてくれた。
さりげない仕草で拭うことにしよう。
「あれ?琴吹さんは死人としか話せないんじゃなかった?」
「あの時は貴方が死人みたいだと揶揄して言ったのよ。でも間違いではないわ、話しやすいのよ。冬杜さんも何故か話せるわね」
間違いでないなら、僕を死人みたいだと告げる必要なくない?
そんな思いを必死にしまう。
そして、記憶してしまわないうちに脳外へ追い出しておこう。
ッぺ!!
「そんなことより、何故私を呼んだかよ。放してちょうだい祇園君」
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