考え言

12/13
前へ
/40ページ
次へ
「それをどうやって解決したの?こうして私が石になっていないし、今はなんともないってことでしょう?」 「僕に手を貸してくれた奴がいる。手伝うとは言ったものの僕は何もできない、だからソイツのところへ行かないか」 「……とりあえず貴方のその言葉を信じることにするわ。案内して」 「よし、行こう」 日も傾いて赤く色付く空が見える。 赤い光るが斜めに入る廊下を僕らは無言で歩いた。 目指す場所は、とある部室だ。 薄気味悪い図書室を通りすぎて、最奥。 そこまで行くと、人は誰も来やしない。 静かな廊下に歩く音が響き、やがてそれも止まる。 「天文部の部室?」 「あぁ、ここの奴が目的の人物だ。入る前にお前の武器兼自殺道具をここに置いてくれ。腐っても恩人だ、僕が招いた人間で危険な目にさせることはしたくない」 文字通り、危険な目にさせたくない。 カッターが数ミリまで迫るなんて、目が危険すぎる。 「これで騙してたらカッターナイフでズタズタに引き裂くから。嘘なら今言いなさい」 現実的に可能すぎて逆に怖い。 ここで『痛みを与え続けて死ぬこともできないくらいの罰を、私が死ぬまで続けるから』くらいのことを言ってくれたほうがまだ良かった。 「心配はいらない。僕は騙してなんかいない」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加