考え言

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「わかったわ。全ておいていきましょう」 そうして出てきたのはポケットから、カッターナイフ一本。 コンパス1つ。 三ミリ芯のシャーペン(芯が出るとこ尖ってるバージョン) 「……え、これだけ?」 「ごめんなさい、これは油断。次からは種類を揃えるわ。だってこんな抜き打ち検査があると思わないじゃない。……抜かったわ」 別に審査してねぇよ。 なんで悔しそうなんだよこの人。 「まぁ、いいや、入るぞ」 ドアを開けると、そこは異世界に繋がるわけもなく、なんのへんてつもない部室。 ソファがあって、机があって、天体望遠鏡があって、家庭用プラネタリウムがあって。 そのソファに凭れるようにして眠っているのは、天文部唯一の部員。 「おい、林檎起きろ」 そう、林檎林 林檎─リンゴバヤシ リンゴ─ アッシュグレーの髪の毛を右から左に向かうほど長くなるというアシンメトリーな髪型の男。 肌が白すぎて、顔立ちも綺麗なために女の子に見えるが男。 そんな林檎は欠伸をしながら顔だけを此方に向けて、本当は寝てなかったのではなかろうか、と疑いたくなるくらい普通に話をしだす。 「おぉ、バカか。なんでお前なんかが美女を連れてんだよ、運を使い果たしたか、騙されたか。世の中甘くねーぞ」 「才能に取りつかれてる」 僕はただ一言告げる。 突っ込みたいが我慢した。 自尊心強いみたい僕。
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