出来言

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僕の通っている学校はかなり広い。 校舎が東西南北1つづつの計4あり、全てが4階建。 そのなかでも、心踊らせる原因のラブレターに記されている屋上は、南棟。 たしか今は立ち入り禁止になっているはずなのだけども、途中で人が入ってこないのは確実であるし、邪魔されたくないとか、そんな理由からの場所指定なのだろう。 男の僕が、その意味を汲み取らなくてどうする、否、僕は 数々の恋愛相談を受け、数々の恋愛をしてきている恋愛マスター────“の妹”のお陰で察したが。 と、言うわけで心情的には完璧だ。 いや完全だ。 でも不思議なことに名前がかかれていない。 誰かがわからない。 この学校全生徒の名前を知っている冬杜だとしても、名無しではわからない。はず。 冬杜なら特定できちゃいそうなのがアイツの怖くて恐ろしいところ。 などと考えつつ、階段を上る。 南棟4階、さらに上へと続く段差に足を運んでいく。 今、keep out の線を越えて、屋上へと続くドアを越えて、根暗の壁を越え……いや、それは越えなくて 平均、平凡という才能しか持ち合わせていない僕は行きますッ ─フライ アウェイ─ 「fry away ッ!!」 ガチャンとドアノブを回して押し開ける。 夕方とあって、綺麗な暖かい光が眼を刺激し、視界が明るくなりすぎる。
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