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そんな光に慣れて、屋上内へ歩みを進めると、やはりいた、女子生徒。
その子は僕と眼が合うと、一瞬目を見張って、すぐに視線を下に。
やっと来たッ、と言わんばかりに恥じらいでるな。
顔も真っ赤だ。
いや、本当大丈夫なのか心配になるくらいに赤い。
そんなに好きでいてくれるてるのか……、いや、待て。
自意識過剰は駄目だ、思い上がるな、それだけは駄目だと妹に言われたじゃないか。
なるべく落ち着きを装い、いかにも何も知りません、期待してません、と言った感じで近寄る。
「えっと、何かようか?」
突風が僕を叩き抜ける。
言葉が届いたのか、ぎこちなく顔を上げると、真っ赤にしながらゆっくりと口を開いた。
「えっと……あの、実は────入れる下駄箱間違えてたみたいです!!すいません!!!」
それだけ言ってダッシュで去っていった。
「……え!?」
なになに、どういうこと、読めない。
転回早すぎてついていけない。
つまりは何か、間違えられたってことなのか、たしかに僕だとは書いてなかったけどさ。
え……何、新手のイジメなのか、これ。
普通間違 えないだろう。
勝手に舞い上がってバカみたいだ。
むしろ、向こうがバカだ。
再度突風が吹き付けて、耳に届く音は僕を笑っているようだった。
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