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―――……夜
とある小さな街の路地裏でその行為は行われていた。
辺りを支配する何かを叩くような、抉るような淫靡で粘着質な音を響かせ呼吸を荒げながら絡み合う影。
『ん………っ、は、ねぇオジサン…気持ち良い?』
自身よりも一回り年上の男の上で淫らに腰を振りながら厭らしい笑みを浮かべ、舌なめずりをする『青年』
まるで蛙を狙う蛇のような目に更に興奮したのか下卑た笑みを浮かべながら男は何度も頷いて青年の淫らな身体を貪る。
グチュッ、グチュッ
『んっは、ははっ、すげ………っ』
何度も何度も下から突き上げられ、青年はよがり、もっと、もっととねだる。
男は気を良くしたのか青年の腰を掴んだと思えば押し倒し、荒々しく腰を打ち付けていく。
『っい、ぁ、あっは、はは、ははははっ』
狂ったような男の突き上げに狂ったように笑いながら快楽を貪る青年。
やがて一層深く腰を打ち付けたと思えば男は身体をぶるりと震わせてイった。
『………っ、ぁ……はは………っ』
青年は中に放たれた熱に浮かされるように、先程までの行為の余韻に浸りながら冷たい夜の地面にぐったりと横たわる。
男はニヤリと笑いながら青年の頬に触れて顔を近付けていく。
そして男と青年の唇が触れるか触れないかという距離まで近付いた刹那―――
ドスッ
鈍い音がしたと思えば男の身体がグラリと揺れて、倒れた。
息は…………ない
『あっははァ……ほんと、馬鹿な野郎だな』
男の心臓を貫いた短刀をいとも容易く抜き去ると先程までぐったりとしていたはずの青年が無垢な笑みを浮かべながら息絶えた男の懐から財布を抜き取り、それにそっとキスをした。
『楽しかったよ、クソジジイ』
そして青年………狼は、再び闇夜に牙を剥いたのだった。
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