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朝、閉められたカーテンの隙間から溢れる光が顔に当たりモゾモゾと動きつつ、少女は覚醒した。
ゆっくりとベッドから降りるとぺたぺたと足音を立てながらカーテンを開けて伸びをする。
部屋から出ると洗面所へと向かい、洗面と歯磨きを済ませて櫛できれいに髪をとかす。
そしてそのままリビングへ向かうと朝食の準備をしていた人物……少女の双子の兄を見て口を開いた。
「おはようリーム」
少女の声を聞くとリームと呼ばれた青年は柔らかな笑みを浮かべながら口を開く。
「はよーシアン、すっげぇ隈だぞ」
「………うるさい、ほっとけ」
「はいはいごめんごめん、もうすぐ飯出来るから待っててな」
「………あぁ」
他愛もないやりとりを交わして双方黙りこめば、シアンと呼ばれた少女は家の外にあるポストへと向かう。
二人が棲む家は街より少し離れた森の奥、泉の畔に佇んでいた。
二人には親はおらず、小さい頃から二人で生活をしてきた。
それに同情したのかは分からないが街の住人たちは二人を気にかけ時折沢山の食材と新聞を運んできてくれるのだ。
「……『再び殺人事件、今度はオルティアナ教会の司祭』………物騒になったもんだな」
食材の入った籠を手に新聞を広げれば大見出しで一面に裸で心臓を一突きされ池を大量に流しながら苦悶の表情を浮かべて白眼剥き出しにして死んでいる見慣れた司祭の写真が載っていた。
ぽつりと思ったことを口に出しながら食材の入った籠を抱え直すと家の中へと入っていく。
そしてこの殺人事件のことを朝食を作り終えて満足げに微笑む兄に伝えるのだった。
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