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「ぶ………っ!?マ、マジかよ………」
殺人事件のことを朝食を食べながら話すと珈琲を啜っていたリームは勢いよく口に含んだそれを吹き出した。
「…………………」
「…わ、悪い」
「………いいよ、別に」
少し服に掛かったが別に良いだろう、あとで洗うし。
それに、リームの驚きも不思議ではない。
司教様は身寄りのない私達をとくに気にかけ読み書きを教えてくれた人でもあるからだ。
「しっかしさーオッサン………裸で死んじまうとかさぁ、皆と同じみたいにひん剥かれてナニでもしてたわけ?こえーなぁ」
新聞を眺めながら唸るリームを尻目にエッグパイを咀嚼し飲み込む。
確かに最近猟奇的殺人が多くなってきたが全員何らかの経緯で行為に及び、殺害されるケースで一致している。
確実に同一犯の犯行で間違いはないと思うのだが……………
「なぁなぁ、これ美人なねーちゃんが犯人なんだろ?どんな奴だろうなー、俺も会ってみてーなぁ」
「馬鹿かアンタ、殺されたいのか?
というかその美人なうんたらは何処で聞いた」
「うん?仕事先のおばちゃん」
まぁ顔で分かるが理想の女でも思い浮かべているだろう兄の言う通り犯人は『女』とされている。
何故なら被害者は皆男ばかりだからである。
しかし遺体の付近には何も証拠など残っておらず付近の住人はぐっすりと寝静まった頃の犯行。
これでは分かるものも分からない、この世界に身体の遺伝子を一致させて調べられるようなものがあれば別なのだが。
私はそう考えながら妄想に夢を膨らませている兄を無視し、朝食を食べ進めるのだった。
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