神様テスト

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 もうずいぶんと日は高くなり、そろそろ昼時といった頃合いのことだ。 畑仕事に区切りをつけた男は、自宅の縁側で一息いれていた。  庭に植えられたいくつかの大きな木々からは、限られた一時を懸命に生きようとする蝉達の合唱がいつまでも鳴りやまず、軒下に吊り下げられた風鈴は時おり吹くゆるやかな風に踊らされ、その二つが手をとって作り出すありふれた夏の調べは、男に季節の声を感じさせるにはまったく申し分なかった。
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