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日が暮れて、人並みもまばらとなれば、頃合いを見て店を閉める。
そして今日も夜が始まる。
「やあ」
窓を叩く音とともに、聞きなれた声が部屋へと入ってくる。
「またお前さんか」
「そう嫌そうに言わなくったっていいだろう。僕たちは友達じゃないか」
「何が友達なものか。いつもいつも用事も無いのによく来るもんだ」
「用事、か。そうだなあ。じゃあ、ひとつここで面白い話でもしてみようか」
静けさをまとった暗闇に、鈴虫の鳴き声が響いている。
私は影の話に耳を傾けた。
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