手紙

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目の前には自分と顔立ちのよく似た美しい少女。 しかし、その美しい顔に表情と呼ばれるものはない。 「――――ということです。 以上が報告です。」 声音からは心が読み取れない。 「そう。分かりました。 下がっていいわ。」 「はい。失礼しま、あっ。」 彼女が退室しようとしたとき、彼女の袖の釦が落ちた。 それは部屋の端にある本棚まで転がっていき止まる。 少女は追いかけて釦を手に取る その手が僅かに棚に当たり、振動をよんだ。 ガシャン 「あ、ごめんなさい。 おばあちゃん。」 棚から四角い缶の箱が落ちた。 彼女の顔に少しだけ表情がのる 「いいのよ。 片しておくからもういいわ。」 やらなくていいという旨を伝えると、少女―――――孫娘は此方を振り向きながらも退室していった。 少女が出て行った後、私は缶の元へと歩み寄る。 そっと拾い上げ、また先程まで座っていた椅子に腰掛けた。 「何年ぶりに、なるのかしら…」
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