お慕い申し上げておりました

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桜の美しく舞う季節―――― は、過ぎ去り、沢山の葉桜が青々と茂っている河川敷。 なんともなしに其処を二人の青年が歩いている。 「今日は、着いてきてくれてありがとう。」 「特にすることもなかった。 構わない。」 短く返した青年は、本当に気にしている風もなく、ただ前を向いて歩いている。 もう一人の青年よりも大人っぽく、背が高い。 「そう?でも、ありがとう。 あいつってば勝負に勝ったからって、毎回俺を使いっ走りみたいにしてさっ!」 そう言う、もう一人の青年、というには未だあどけなさの残る彼は小さく口を尖らせる。 「なら、負けなければいい。」 その言葉に対し、背の小さい方の青年は顔を川の方へ背けて、愚痴っぽくこぼす。 「そうは言うけどさぁ…あいつに勝てるのって、はじ…っ!」 不自然に言葉を切ったのを不思議に思った、背の高い青年は少し後ろを歩いていた彼へ振り向いた。 「どうした?」 「ちょっ! ねぇ、はじっ…ひと!川!中!」
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