お慕い申し上げておりました

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自分でも思う。 川に倒れてる人間なんて怪しいことこの上ない。 「ついてきて。」 部屋にいた全員が立ち上がる。 「原田さんに永倉さんもいらっしゃるんですか?」 「まぁな。 俺達も一応来いって言われるんでな。」 何を思っているのかよく分からない笑顔で永倉が教えた。 「?そうなんですか。」 「話してないで行くよー?」 藤堂が注意すると、三人は部屋を出た。 場所は変わり、部屋の端に何人かの人が座っていた。 そして私の目の前には二人の男がいる。 部屋の空気は緊張していて、落ち着かない。 「―――おい、お前。」 その緊張を破った声の方に下げていた顔を向けると、視線がかち合う。 「女みたいな面してやがる。 本当に男か?」 いたのは顔立ちの整った人だった。原田さんもなかなかだったが、この人は違うタイプのイケメンだ。 「へ?」 いけない、いけない。 つい見惚れてしまった。 「いや、何でもない。 本題だ。お前はどうして川に倒れていた。」 「落ちて、流されました。」
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